はじめに:その痛み、“あなた”のものですか?
「なんでこんなところに痛みが出るんだろう?」
「検査では異常がないのに、なぜか不調が続いている」
こんなふうに、自分の身体に違和感を抱いた経験はありませんか?
私もかつて、痛風になったときに、まさにその問いを持ちました。
食生活も気をつけていたし、運動もしていた。それでも足に激しい痛みが走り、思うように動けなくなる。医師からは「薬を飲んで経過を見ましょう」と言われたけれど、私はふと立ち止まって、自分自身にこう尋ねたんです。
「どうして、今、この症状が出てるの?」
すると、浮かんできたのは、「不足感」でした。
「決断ができない」「怖くて動けない」「何かが足りない」——そんな感情が、当時の私の中にずっと沈殿していたのです。
そしてある瞬間、ハッと気づいたんです。
**「ああ、足に出たのは、“進めない”という私の感情が現れていたんだ」**と。
その瞬間から私は、痛みを“敵”ではなく“語りかけてくる存在”として見始めました。薬に頼らず、感情と向き合い、それを手放していくことで、やがて痛みは自然と和らいでいきました。
この記事では、感情と身体のつながり、そして「症状は自分の内面からのメッセージである」ことについて、科学的な視点と体験的な気づきを交えながらお話しします。
症状は、あなたの“敵”ではない

「感情が病気を引き起こす」というと、まるで感情が悪者のように聞こえるかもしれません。でも実際は逆です。感情は、“今のあなたに必要な気づき”を伝えようとしてくれているだけ。
例えば、怒りを無視し続ければ、肝臓や筋肉に影響が出ることがあります。
悲しみを抑え込めば、呼吸が浅くなり、肺や胸部に不調が現れるかもしれません。
不安を抱え続ければ、腸内環境が乱れ、消化不良や便秘、過敏性腸症候群といった形で出てくることもあります。
こうした臓器は、あたかも“感情を宿している”かのように反応します。もちろん、臓器に心があるわけではありません。でも、感情が身体に反映される経路がちゃんと存在するのです。
感情 → 神経系 → 症状のしくみ
感情がどのように症状として現れるのか、そのメカニズムを簡潔に説明すると、以下のような流れです。
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感情が生じる
怒り・悲しみ・恐怖・焦りといった感情が生まれると、まず脳が反応し、自律神経に信号が送られます。 -
身体の機能に変化が起こる
心拍数が上がる、胃が締めつけられる、血流が偏る、免疫系が乱れる——すべては神経系とホルモン系の連携によって起こります。 -
慢性化することで症状へと変わる
一時的な反応ならすぐに戻りますが、感情が処理されず溜まっていくと、身体は「症状」という形で“知らせ”を送ってきます。
痛風になったとき、私の足が訴えていたのは「恐れず進め」というメッセージだったのかもしれません。
「私の身体であって、私ではない」
ここでお伝えしたい重要な哲学があります。
痛みがあるのは身体。でも、私が痛いわけじゃない。
この視点は、苦しみに呑まれてしまうのではなく、それを少し引いた場所から眺める感覚を育ててくれます。
「私は今、怒っている」ではなく、「怒りが、私の中にある」
「私は不安だ」ではなく、「不安が、私の身体に現れている」
そう思うだけで、呼吸が深くなり、心が少し軽くなる。
そして、身体はゆっくりと、その変化に応えてくれます。
身体を“推し”のように扱う

私たちは、推しをとても大切にします。応援し、愛し、少しでも元気でいてほしいと願う。
ならば、自分の身体も“推し”として見てみてはどうでしょうか?
いつも頑張ってくれている肝臓、何も言わずに働き続けている腸、たった今も血を送ってくれている心臓——これらは全部、あなたを生かすために24時間応援してくれている存在です。
文句ばかり言うのではなく、たまには「ありがとう」「今日もよくやってくれてるね」と声をかけてあげてください。
今日からできること
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朝、鏡の前で「身体の調子、どう?」と声をかけてみる
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感情日記をつけて、「今ある気持ち」にラベルを貼る習慣を持つ
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痛みや不調が出たら、善悪で判断せず、ただ「今、これがある」と受け入れてみる
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身体のどこかに手を当てて、「ありがとう」と伝えてみる
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外の情報より、自分の“感覚”を信じる時間を5分だけ持ってみる
おわりに:「はっ」と気づく、その瞬間に
この文章が、あなたにとっての“はっ”となるきっかけになれば嬉しいです。
すべての症状は、あなたを責めるためではなく、あなたの中にある何かを知らせるためにやってきます。
善悪ではなく、ただ今の自分をまるごと受け入れてみること。
「私の身体であって、私ではない」という視点を持つこと。
身体を、人生でいちばん信頼できる“推し”として、大切にしてあげること。
そうして気づきが起こるとき、症状の意味も、人生の歩き方も、少しずつ変わり始めるはずです。

